2014年11月30日日曜日

私の頭の中のウサお



吾輩は、ウサお である。

ここは何処なのだろうか。
なんだかどんよりと霧がかった景色で、
時々、パチッと閃光が見えるのである。
吾輩は、目を凝らしながら前へとすすむ。

霧の先に何か黒くモヤモヤとした塊が見える。
側まで近づくとモヤモヤの正体が分かった。
文字だ。

「エステラ」「屋敷」「 ハヴィシャム」「心」「ピップ」「衣装」「福岡」
他にも沢山の文字が蠢いている。

これはなんだと言うのだ。
吾輩は、ただひたすら「文字」を見つめていた。

突然、
「久保くん!そうじゃないの!」
女の人の声が聞こえ、次の瞬間、
大きな閃光が走った。

吾輩は驚きで、顔を覆っていた掌を顔から離した。

すると、そこには蠢いていた文字がレールの様に真っ直ぐ並んでいる。
道を示すかのように。

先は少しずつ明るくなっている様だ。

吾輩は、また前へと歩き出した。

胸の高鳴りを感じながら。







久保優二

2014年11月28日金曜日

Who am I?

私は誰なのか?

私はいつ、何処で生まれ、どんな生活をしていたのか?
私は自問自答する………


“そうなんだ”…………と、思った次の瞬間には“いや……違う、違う、そうじゃ、そうじゃなぁい”
等と勝手に口ずさんでいる私がいる。
そして……その瞬間
あれっ?
私は鈴木雅之か?
と、思ったりすることもある。
そんなわけはないっ
当たり前だ……。
“違う違う、そうじゃ……………。”


こうなると、負のスパイラルに入り込み中々抜け出せなくなる………
…………何なら重症かもしれないっ
しかし…………
私は確かに存在はしているのだ……
彼の創造という名の元に……
あなたの妄想の中に……
それらは人間だけが持っている特権……何人たりとも入ってこれない唯一無二のもの。
それがあって、私は存在出来てる。
私はどんな人間なのか、私の存在理由は?
私は何故一言も喋ってないのか?
私は、明日登場するらしい……
そして写真に写っている人達が、何か糸口になる情報を持ってるかもしれない……
現にその“奥田”と名乗るその未確認生物………いや人間は
“前にも、そんな様な姿を見たことがあるという”
そんな様な姿?
普通ではないのか?
謎は深まるばかりだ

私は自分を探し続ける……
この心の旅に終わりはないだろう!!
私が誰なのか、この私を劇場で見かけた方は是非教えて欲しい。
“あなたは〇〇〇よ”と
あなたの第一印象と共に………




2014年11月27日木曜日

追加キャストをUP致しました

大変長らくお待たせいたしました。
 
チラシには出ていないキャスト情報を
UP致しました。
詳細はキャストページにてご確認ください。
 
 

2014年11月26日水曜日

お知らせ

明日、11/27は、

視聴者参加型演劇情報バラエティ webTV「エンタの素」

(毎月第2、第4木曜日20時30分〜21時30分     Stickam公式TOP生配信)に

 

「GREAT EXPECTATIONS〜大いなる遺産〜」チームから、

笠原浩夫・山本芳樹・松本慎也が出演します。

どうぞお楽しみに!!

 

番組URL:

http://www.stickam.jp/profile/ainevertv

番組blog:

http://ameblo.jp/entanomoto/


『風』

そこには自転車があった……

僕の愛車だ

僕は稽古場まで自転車で通っている、決して良い自転車とは言えないギアも無い普通のママチャリだ

でも僕には大切な愛車でこいつに乗って稽古場まで行く時間が凄く大切な時間で1人で落ち着ける時間

しかしある日、革命は起きた

ある先輩が言った

『若林一緒に帰ろうぜ』

『えっ…?』

その先輩とは今回初めて一緒にお芝居をさせていただくので、僕はちょっとヒビっていた、しかもその先輩は噂を聞く限り……伝説なのだ

僕は
『はい!是非!』
と答えたが、人見知りの僕は内心ヒビっていた……

そして家に帰ってきた僕は思った

『たしかに伝説だ‼』

その先輩は僕の自転車の時間を変えた……

その先輩だけじゃない…他にもこの作品の稽古で色々な劇団員の楽しい所が凄く伝わり、僕の心を稽古場に突き動かしてくれる

ホントにありがたい稽古場で僕を成長させてくれる

明日も稽古頑張ろう

今日は愛車をハイエースに変えて作業だ


若林健吾

沼地にて

この沼地にいつからいたのか、どこから此処にやってきたのかもわからない。気づいたら私は此処にいた。
 
私はこの沼地に棲む、冬の蛙。
 
仲間のように冬眠も出来ず、凍えながら今日も空を見ている。そういうのも、悪くない、と私は思う。
 
私は、此処から人間たちを見るのが好きだ。
 
此方の空き地から彼方の空き地へ数人の若者たちが駆けていく。
彼らはそこへやってきたトラックに駆け寄ると、荷台の荷物を此方の空き地へえっちらおっちらと移動していた。
若者たちに混じり、数人の年嵩の者たちも負けじと動き回る。
 
その仕事が終わると、彼らは気持ち良い挨拶を交わして夫々の家へ帰っていった。
 
此処に何ができるのか、明日からの楽しみができた。
 
冬の蛙
 
 
※画像は人間たちのお気に入りアイテム「ヨウジョウテープ」
 
 

2014年11月24日月曜日

男の夜

時刻は深夜一時をまわった。

男は机の前に腰掛け、スタンドのスイッチを入れ、灯りをともした。鞄の中からクリップに留められたB5の紙の束をとりだし、おもむろに煙草に火をつける。ゆっくりと煙を吐き出しながらぼぅっとしている。五分ほどたってから、その男はB5の紙の束に目を落とす。
そこには

「GREAT EXPECTATIONS 大いなる遺産」
と書かれていた。
どうやらその紙の束は台本で、男は役者のようだ。
ただ中々、開こうとしない。。。

なぜだ。なぜ開けない。男は自問自答した。とすぐに携帯をとりだし、思考を止めてしまった。どうやら男は携帯ゲームのLINEツムツムにはまっているようだ。男は時間を忘れツムツムに熱中した。まるで現実逃避するかのように。。。気がつけば深夜二時半をまわっていた。男は携帯置くと、机で頭を抱えて激しい後悔と自己嫌悪におちいった。

「嘘だろ。。。」
男は後悔の念をつぶやく。
突然男の思考にあることが浮かぶ。
「今日はもう寝て、明日早く起きて台本よもう!」と。
その三秒後、

「そんなこと言って、朝起きれたためしがない!」と。

男は激しく悩む。はたからみればとっとと台本よめよと思うかもしれない。だか、男にとっては大いなる問題なのである。
一分後、男は台本を開いた。男の良心が勝ったのだ。実は男は知っていたのだ、男はこの深夜の時間帯に台詞をおぼえると、すぅーっと頭に入ってきて短時間におぼえられることを。
男は台本を読んだ、台詞を頭に叩き込む。

しかし、最大の敵。睡魔が容赦なく襲ってきた。こいつに襲われたら絶対絶命だ!誰も・・・こいつには・・・敵わ・・な・・い・・・zzz

男は夢見る。
それは、舞台本番自分の台詞。しゃべろうとするが台詞がまったくでてこない。悪夢・・・。

男は体をびくっとさせて起きた。時計を見ると、深夜三時を少しまわっていた。こともあろうに、寝落ちしてしまっていたのだ。
だが、寝落ちしていた時間は思いのほか短く、心理的ダメージは少ない。男は、ユンケルを取りだし、一気に流し込む。そして台本を読んだ。
日の出の頃男は台本を閉じ、床についた。

これを読んだ皆のほとんどが早く読んで早く寝なさい!とおもうかもしれない。いや思うだろう!男自身強くそう思っている。

だが人生思い通りにいかない。時には回り道をし、誘惑に負けてしまうこともある。

長々くだらない文章を書いてしまったが、これがこの男の日常である。
ちなみに今は深夜三時。。。この文章を書くのに二時間以上かかってしまった。ちなみにまだ台本を開けていない。

とりあえずユンケルを流し込むところから始めようと思う。。。なんとかなる、なんとかなるさ。






そして翌日も、男は机の前に腰掛けスタンドの灯りをつける。


この男の日常は続いていく。


仲原裕之



2014年11月22日土曜日

「難しい、本当に難しいわ」
彼女がそう言った気がした。だがその声は風の音に消され、僕にまで届くことはなかった。
風?
と僕は思う。
扉も窓も閉ざされたこの稽古場に、風が吹くことなどあるのだろうか。
僕は細い目、もとい、目を細めて周りを見回す。
「私はあらすじしか読んでいなかったんだわ」
今度はハッキリと、彼女の言葉が届いた。
さらに風が強まる。
やっと僕は気付く。彼女の言葉をかき消したのは彼女の中から吹く風で、そして彼女の言葉を僕に届けたのも、やはり彼女の中から吹く風だった。
彼女が言葉を発する度に、風はどんどん強くなる。
ディケンズの綴る言葉が、彼女の中で嵐となり、そして僕を飲み込もうとしていた。

気がつくと、僕は嵐の中心にいた。
そこはとても静かで、そして、1匹の猫がいた。
「猫?」
思わず僕は呟く。
「君には僕が猫に見えるの?じゃあ僕は猫なんだね」
猫が喋ったことよりも、僕を驚かせたのは言葉の意味のほうだった。
「君は猫じゃないの?」
「猫と言えば猫だし、猫じゃないと言えば猫じゃない」
「どういうこと?僕にはわからない」
「ある人は僕を犬と呼ぶし、ある人は僕を羊と呼ぶ。またある人は僕を愛と呼び、ある人は絶望と呼んだ。希望と呼ばれることもあるし、孤独と呼ばれたりもする。そして君は僕を猫と呼んだ。」
「つまり、すべては同じものだということ?」
「どうだろうね。その答えはここには無いかもしれないな。ところで、君は何でここに来たんだい?」
なぜ僕はここにいるのか。僕がここに来た理由。
「そう、僕はピップを探しに来たんだ。僕は少しでも早く彼に会わなくちゃいけない」
「残念だけど、彼はここにはいないよ。ここは彼女の中心だからね。もしここでピップに会えたとしても、それは君の探している彼ではないよ」
ならどこに行けばいい、と尋ねた僕に、猫は大きなあくびで応えた。
そんなくだらない質問するなよ、君の中心に決まっているだろ、丸くなって既に眠ってしまった猫の背中がそう言っているようだった。

我に返ると、そこはいつもの稽古場だった。
トビさんがいて、マツシンがいて、劇団の皆がいて、倉田さんがいた。
あの猫、どことなく倉田さんに・・・
そこで倉田さんの声が響く。
「久保君!そうじゃないのよ!!」
ああ、いかんいかん、そんなこと考えている場合じゃない。
慌てて僕は台本を開く。今度は自分の中心に向けて。
ピップを探す旅は、まだ始まったばかり・・・。

関戸博一

2014年11月20日木曜日

大変お待たせいたしました!

「GREAT EXPECTATIONS~大いなる遺産~」出演者による公演ブログが間も無く始まります。
未発表のキャスティングについても近々お知らせできると思いますので、楽しみにお待ち下さい。


さて、今回の公演ブログ、第1周目は、

【続け!第2のチャールズディケンズ!稽古場物語!】

「大いなる遺 産」、「クリスマスキャロル」、「オリバーツイスト」など名だたる名作を生み出したディケンズは、
過去に俳優を目指したこともあったと か・・・。
ならば、 我々男優集団のなかにもディケンズに並ぶ文豪がいるのでは!?
・・・ということで、稽古場ブログを小説風にお届けします。

それぞれの筆者が直々に選んで載せる挿絵(お写真)にもご期待ください!