私の頭の中のウサお
吾輩は、ウサお である。
ここは何処なのだろうか。
なんだかどんよりと霧がかった景色で、
時々、パチッと閃光が見えるのである。
吾輩は、目を凝らしながら前へとすすむ。
霧の先に何か黒くモヤモヤとした塊が見える。
側まで近づくとモヤモヤの正体が分かった。
文字だ。
「エステラ」「屋敷」「 ハヴィシャム」「心」「ピップ」「衣装」「福岡」
他にも沢山の文字が蠢いている。
これはなんだと言うのだ。
吾輩は、ただひたすら「文字」を見つめていた。
突然、
「久保くん!そうじゃないの!」
女の人の声が聞こえ、次の瞬間、
大きな閃光が走った。
吾輩は驚きで、顔を覆っていた掌を顔から離した。
すると、そこには蠢いていた文字がレールの様に真っ直ぐ並んでいる。
道を示すかのように。
先は少しずつ明るくなっている様だ。
吾輩は、また前へと歩き出した。
胸の高鳴りを感じながら。
久保優二
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