沼地にて
この沼地にいつからいたのか、どこから此処にやってきたのかもわからない。気づいたら私は此処にいた。
私はこの沼地に棲む、冬の蛙。
仲間のように冬眠も出来ず、凍えながら今日も空を見ている。そういうのも、悪くない、と私は思う。
私は、此処から人間たちを見るのが好きだ。
此方の空き地から彼方の空き地へ数人の若者たちが駆けていく。
彼らはそこへやってきたトラックに駆け寄ると、荷台の荷物を此方の空き地へえっちらおっちらと移動していた。
若者たちに混じり、数人の年嵩の者たちも負けじと動き回る。
その仕事が終わると、彼らは気持ち良い挨拶を交わして夫々の家へ帰っていった。
此処に何ができるのか、明日からの楽しみができた。
冬の蛙
※画像は人間たちのお気に入りアイテム「ヨウジョウテープ」
<< ホーム