男の夜
時刻は深夜一時をまわった。
男は机の前に腰掛け、スタンドのスイッチを入れ、灯りをともした。鞄の中からクリップに留められたB5の紙の束をとりだし、おもむろに煙草に火をつける。ゆっくりと煙を吐き出しながらぼぅっとしている。五分ほどたってから、その男はB5の紙の束に目を落とす。
そこには
「GREAT EXPECTATIONS 大いなる遺産」
と書かれていた。
どうやらその紙の束は台本で、男は役者のようだ。
ただ中々、開こうとしない。。。
なぜだ。なぜ開けない。男は自問自答した。とすぐに携帯をとりだし、思考を止めてしまった。どうやら男は携帯ゲームのLINEツムツムにはまっているようだ。男は時間を忘れツムツムに熱中した。まるで現実逃避するかのように。。。気がつけば深夜二時半をまわっていた。男は携帯置くと、机で頭を抱えて激しい後悔と自己嫌悪におちいった。
「嘘だろ。。。」
男は後悔の念をつぶやく。
突然男の思考にあることが浮かぶ。
「今日はもう寝て、明日早く起きて台本よもう!」と。
その三秒後、
「そんなこと言って、朝起きれたためしがない!」と。
男は激しく悩む。はたからみればとっとと台本よめよと思うかもしれない。だか、男にとっては大いなる問題なのである。
一分後、男は台本を開いた。男の良心が勝ったのだ。実は男は知っていたのだ、男はこの深夜の時間帯に台詞をおぼえると、すぅーっと頭に入ってきて短時間におぼえられることを。
男は台本を読んだ、台詞を頭に叩き込む。
しかし、最大の敵。睡魔が容赦なく襲ってきた。こいつに襲われたら絶対絶命だ!誰も・・・こいつには・・・敵わ・・な・・い・・・zzz
男は夢見る。
それは、舞台本番自分の台詞。しゃべろうとするが台詞がまったくでてこない。悪夢・・・。
男は体をびくっとさせて起きた。時計を見ると、深夜三時を少しまわっていた。こともあろうに、寝落ちしてしまっていたのだ。
だが、寝落ちしていた時間は思いのほか短く、心理的ダメージは少ない。男は、ユンケルを取りだし、一気に流し込む。そして台本を読んだ。
日の出の頃男は台本を閉じ、床についた。
これを読んだ皆のほとんどが早く読んで早く寝なさい!とおもうかもしれない。いや思うだろう!男自身強くそう思っている。
だが人生思い通りにいかない。時には回り道をし、誘惑に負けてしまうこともある。
長々くだらない文章を書いてしまったが、これがこの男の日常である。
ちなみに今は深夜三時。。。この文章を書くのに二時間以上かかってしまった。ちなみにまだ台本を開けていない。
とりあえずユンケルを流し込むところから始めようと思う。。。なんとかなる、なんとかなるさ。
そして翌日も、男は机の前に腰掛けスタンドの灯りをつける。
この男の日常は続いていく。
仲原裕之
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