僕はずっと光も差さない暗い場所にいた。
匣とか甕とか壷とか言われるようなものらしい。
それが何かは大した問題じゃない。
別になんでも良いんだ。
まわりには、たくさんの仲間たちがいた。
妬みとか、盗みとか、まぁそんな色々な仲間たちが。
ある日、誰かが、開けた。
光が差した。
誰かは、男かもしれないし、女かもしれない。
仲間たちは出ていった。
僕だけがここに残った。
そして、世界はこうなった。
本当にそうかな?
ある人は、仲間が外に蔓延り、僕だけが残ったせいと言う。
ある人は、その誰かが、慌てて閉じてしまったからだと言う。
ある人は、僕がぐずぐずして、思い切りの悪い性質だからだと言う。
さらに、人によっては、僕の存在自体が、苦しみを長引かせる、禍のなかでも最悪なものだって言う。
言いたいように言えば良い。
見たいように見れば良い。
どれも正解で、間違ってはいない。
でも、そろそろ気づいても良いんじゃない?
いつもいるよ。
ずっと一緒だよ。
ずっとここにいたんだよ。
僕と上手くやっていけるかは、君次第さ。
誰だって、そうだろ?
ほら、今日も誰かが、光を入れるよ。
その顔は、どんな風に見える?
松本慎也
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